’14記者リポート:ジビエ料理 害獣を食材に利用 命無駄にせず低カロリーで健康的[石川県]

野生鳥獣による農作物の食害が後を絶たない。被害拡大を受け、県は今年度から、駆除のために捕獲したイノシシやニホンジカなどを食材とする「ジビエ料理」を普及させる取り組みを始めた。生き物の命を無駄にせず、低カロリーの肉で健康志向の消費者の「胃袋」もつかむ狙いだ。一方、魚介類を中心とした食文化が根付く石川で、なじみの薄い肉料理をどのように広めていくかや、安定供給が課題となりそうだ。

 ■捕獲頭数4倍に

 県里山振興室によると、イノシシによる農作物の被害額は2009年の3680万円から、13年は4980万円に増加した。暖かな気候を好むイノシシの生息域が温暖化の影響で、能登地方まで北上したとみられている。

 県は鳥獣被害防止特別措置法の成立(07年)をきっかけに、08年度から駆除に本腰を入れた。イノシシの捕獲頭数は昨年度2684頭で、07年度比の4倍に上る。しかし、捕獲後は猟師が食べるか、廃棄されることが多く、活用が課題だった。

 ■客の評判上々

 そんな中、小松商工会議所が12年度、ジビエ料理を通じた地域おこしを始め、地元の料理店に協力を呼びかけた。ジビエとはフランス語で、狩りで捕らえた野生の鳥獣肉のことで、ヨーロッパでは高級食材として重宝されている。脂肪が少なく引き締まっており、低カロリーで健康にも良いとされる。

 小松市内では、和食やフランス料理店計7店舗で、コース料理の一品として猪肉のムース・ハム(仏料理店「ミューレミュー」)や、ローストした猪肉にミンチ肉を混ぜたみそを付け合わせた創作料理(料亭「まつ家」)などが提供されてきた。客からは「食べてみると脂に甘みがあってあっさりしていた」「臭いがきついと思っていたが、食べるとおいしかった」と好評だった。

 小松での取り組みに着目した県は今年度、本格的な普及に向けて1000万円の予算を計上した。7月からは「いしかわジビエ利用推進研究会」(仮称)を発足させ、自治体や農協、猟友会のメンバーや料理家らで、加工・保存法や新たな調理法の開発を検討する。

 ■6割が未経験

 県が11年秋、「農林漁業まつり」に訪れた約300人にアンケートをしたところ、6割超がイノシシ料理を食べた経験がなかった。

転載元:http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20140616ddlk17040310000c.html