獣害防止に欧州資材 本巣の苗木で実験(岐阜県)

 シカによる深刻な食害の防止を目指し、県や大学、民間企業の産学官が連携する「県森林技術開発・普及コンソーシアム(共同研究体)」が欧州製の獣害防止用資材を初めて導入し、苗木を防護する実験を始めた。日本の気候にも適合すれば「林業離れの一因になる被害を減らせるかもしれない」と関係者は期待を寄せる。(大井雅之)

 県などによると、2013年度末時点では、ニホンジカが県内に推定約6万7000頭生息し、この10年間で約4倍に増え、生息域も拡大しているという。シカがスギやヒノキなどの樹皮をはいだり、葉を食べたりする被害は後を絶たない。一度、食べられた苗木はうまく成長せず、新たな苗木の植え替えや防護柵の設置など、管理や対策の費用がかさみ、経営の圧迫にもつながっている。造林の意欲を失い、林業離れにもつながりかねない状況だ。

 美濃市の県立森林文化アカデミーで13日に開かれた「日独獣害防止用資材キックオフセミナー」には、県内外の林業関係者や企業の担当者ら約35人が出席。アカデミーと研究開発などで連携するドイツ・ロッテンブルク林業単科大学が獣害防止用資材「TUBEX」を民間企業と共同開発していることから、TUBEXを製造する企業の担当者がドイツから来日し、その特徴を説明した。

 TUBEXは、木にかぶせて設置するツリーシェルターで、イギリスやドイツで6割以上のシェア(市場占有率)を誇る。大きな柵を設ける必要はなく、木の保温に適した素材が使われており、木を守りながら、苗木の成長も促進できる。

 今回の実験では、企業から提供された5種類のTUBEX計約500本を山県、本巣両市の山林で苗木に設置。資材は欧州の気候に合わせて作られているため、四季がある日本の気候に適合するかが試される。2~3年かけてデータを集めるという。

 アカデミーの森林技術開発・支援センターの技術主査・和田敏さんは「良い結果が出れば、国内の林業被害の課題を解決するきっかけになる。苗木を守ることと同時に、シカの捕獲や駆除で数も適正化して、被害を減らしていきたい」と話している。

読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/local/gifu/news/20161021-OYTNT50408.html