オオカミ導入 添田町でフォーラム、米独の事例紹介 [福岡県]

添田町で23日開かれた「オオカミフォーラム」では、米国やドイツの研究者らがオオカミと住民の共生の現状を紹介。シカなどによる食害の抑制と生態系の回復にオオカミを山林に放つことの有効性を解説した。来場者からは「農作物被害を減らすのにいい」と賛成の声がある一方、「人的被害への不安はなお拭えない」と導入に消極的な意見も聞かれた。

事務職の女性(52)は「このままシカの被害を放置して自然が崩されるのではなく、広大な土地ではないドイツでも共存できているように登山者や住民、里山の住み分けができる山になってほしい。今後も議論を重ねてほしい」と求めた。

夫婦で訪れた添田町庄の主婦(72)は「オオカミは怖いというイメージがあったが、実生活に影響するような被害はほとんどないことを知った。農作物の被害を抑えるにはいいのでは」。

同町落合の山間部でシイタケやタケノコなどをつくる兼業農家、梅野元気さん(31)も「柵やわなを仕掛けても効果がない。約3分の1は収穫できず、新しい芽を食べられている」とシカの被害に悩む。小学1年と5年の息子の父として「山で遊ぶことが多いので心配もあったが、人を襲うケースは少ないと知って以前より不安が解消された」と期待を込めた。

一方、神崎聡県議は「国内での実証実験ができなければ実現は難しい。法的にクリアすべきこともあり、国レベルの議論が必要だ」。川崎町の男性町議は「オオカミの復活で生態系が回復する説明は納得できる。ただ、日本の状況を考えると、人に危害を加えるのではという不安はなお払拭(ふっしょく)できない」と話す。

添田町の寺西明男町長は「多くの町民が興味を持っているのは、シカやイノシシなどによる被害が多い現れ。(オオカミ導入も)一つの考え方として非常に興味がある」と話した。

西日本新聞

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikuhou/article/284035