ツキノワグマ狩猟 兵庫で20年ぶり解禁、だが…(兵庫県)

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兵庫県でツキノワグマの狩猟が、20年ぶりに解禁される。絶滅の恐れから禁猟の措置が採られてきたが、山間部の過疎化も相まってクマの数や生息域が拡大し、人や農作物への影響が深刻化しつつある。ただ、今秋は餌の木の実が少なく、出没が増える恐れがありながら、猟師の減少と長年の空白でクマ猟に積極的な猟師は少なく、捕獲数を見通すのは難しそうだ。(阿部江利)

■生息数増え、出没急増

ツキノワグマは生息個体数が減ったため、1992年度に県の要請で県猟友会が狩猟を自粛。96年度には100頭以下になったとして県が全面禁止した。

その後、2005年以降、推定生息数は毎年2割ずつ増え、15年には県の計画で禁猟を解除する目安の800頭を上回る約940頭に上った。

人里などへの出没情報も増加。11~15年度は計2676件と、05~09年度(計1689件)の約1・6倍となった。出没地域も南下し、これまであまり目撃されていなかった北播磨や西播磨南部、北摂へと拡大。県は11月15日から1カ月間、20年ぶりにクマ猟の限定的な解禁(猟師一人1頭、有害駆除を含め上限140頭)に踏み切った。

■受け止め多様

但馬地域の果樹農家の男性(73)は8月、収穫間近のナシの約9割をクマに食べられて収入を断たれ、頭を抱える。「解禁はありがたい。被害を受けた人は同じ思いだろう」と期待する。

県森林動物研究センター(丹波市)によると、今年はブナとミズナラの実りが悪く、冬眠を前に出没が増える恐れが高い。既に北播磨、丹波地域でも出没が目立ち、多可町は恒例の秋のハイキングイベントを中止した。

一方、豊岡市内のコメ農家の男性(65)はクマが集落に近づくのを防ぐ「防除」に取り組み、解禁に懐疑的だ。「作物を食べ、人を恐れないクマは殺処分もやむを得ないが、無分別に殺すのはためらいがある」。クマの生息環境保全に取り組む日本熊森協会(西宮市)も「植林などで荒れた森林環境の改善が先」などと反対している。

■狩猟者は減少

クマは銃猟に限定されるが、県内の銃猟免許所持者は、96年度の5606人から2013年度末には2759人まで半減。高齢化で銃を手放す人も多い。

さらに、同センターが昨秋、猟師約850人に実施したアンケートでは「クマを撃ちたい」としたのは15%。禁猟前には養父市で4頭を狩った丹波市の男性も数年前、猟銃を手放し、「知る限り、周りに進んでクマを撃ちたいという猟師はいない。犬を殺されることもあり、銃を持っていても怖い」と話す。

狩猟技術が継承されていないとの懸念もある。県猟友会の西川義丈会長(72)は「県内の会員は20年間クマ猟をしていない。何年も続ければ捕れるだろうが、最初からは難しいだろう。クマは手負いにすると人命に関わる。ハンターの安全を第一に、チームを編成して狩猟に臨みたい」とする。県鳥獣対策課は「実際に何頭捕れるのかは未知数。下限は設けておらず、まずは保護から数の調整への転換が求められている」と説明する。

神戸新聞

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201610/0009587450.shtml