女性ハンター猟も料理も 九州初「猟師の会」(大分県)

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女性ハンター、いざ狩りへ-。大分県内の女性猟師23人が「女性猟師の会」(仮称)を立ち上げた。県によると、都道府県レベルの女性組織は全国3番目、九州では初。男性が圧倒的多数の猟師の世界に新しい視点を取り入れ、猟師のなり手の確保や、捕獲した獣肉を使うジビエ料理の普及に取り組む。会長の田北たず子さん(64)=同県豊後大野市緒方町=は「女性が連携すれば、きっといろいろなことができる」と張り切る。

県森との共生推進室によると、猟銃やわな猟の免許を持つ女性は県内に57人(9月末現在)。農作物を荒らすイノシシやシカを駆除するため、農家の女性が免許を取得する例が多いという。県内の農産物被害額は2億6700万円(2015年)に上り、大きな打撃になっている。

田北さんは、子どもが成人したのを契機に、36年間勤めた地元の病院を退職。自宅の畑で「憧れだった」という野菜作りに取り組む中で、周囲の農家が鳥獣の食害に苦しんでいることを知った。そのころ、妹の東藤さき代さん(60)=同市朝地町=も同じ病院を退職。「姉妹で役に立てれば」と、2011年に試験を受け、そろってわな猟の免許を取得した。

すぐに、自宅や実家の周囲に、檻(おり)に誘い込む箱わなや、脚にワイヤを掛けるくくりわなを仕掛けた。初めての獲物はその3日後、約40キロのイノシシ。「先輩猟師に『あんたらうまいなあ、こんなすぐ捕れる人おらんで』とほめられ、うれしかった」(田北さん)という。それから5年。現在は2人合わせ約20カ所のわなで、イノシシやシカ、アナグマなどを年約50頭捕獲する。「ウジ」と呼ばれる獣道を見極め、手袋をしたり、極力肌が出ない服を着たりして周囲の草木に人間のにおいが付かないように仕掛けるのがこつだ。

14年には、実家の敷地に獣肉処理施設「女猟師の加工所」を作った。仕留めた獣肉の販路が少なく、多くをそのまま廃棄せざるを得ない実態を知り、「獣の命を奪うのだから、きちんといただかないと申し訳ない」(東藤さん)と感じたからだ。「道の駅あさじ」(同市朝地町)などで精肉やハンバーグ、イノシシ肉の紅茶煮、シカのハツ(心臓)などを販売している。

女性猟師の会は、2人の呼び掛けに応じて27~64歳の女性ハンターが集まり、8月末に設立総会を開いた。今後、獣肉の新たな産品や、家庭で作れる料理のアイデアを出し合って販路拡大につなげる考え。現在は使い道がない毛皮も装飾品などの商品化を探る。狩猟技術の向上にも取り組み、今月29日には、わな猟の勉強会を計画している。

平均年齢48歳。田北さんは「もったいないの精神で、これまで目が向けられなかったことに知恵を出したい」、東藤さんは「わな猟は普通の女性でもできる。仲間を増やし、獣害減に役立ちたい」と話している。会の名称は公募し、現在候補の中から選考中という。

西日本新聞

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/281361

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