ハクビシン 都心にそろり 都で最多715匹捕獲(東京都)

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 タヌキやアライグマほどの体格で、鼻筋の白い線が特徴のハクビシン。東京の街中で、この野生動物によって「庭の果実が食べられた」「屋内に入り込んで荒らされた」といった被害報告が増えている。以前は山間部の果樹園で被害が多かったが、都市部で空き家が増えたことなどから、すみ着いたようだ。自治体は対策を強めている。

 「最初はネズミかネコだと思った。まさか、こんな街中にいるなんて…」。渋谷区の市川茂美さん(72)は今春、自宅マンションの中庭で、二匹のハクビシンを業者に捕獲してもらった。所有するマンション一階の美容室では、天井から物音がしたり、店内が荒らされたりしていたという。

 本紙の写真部記者(55)も今年六月、日が落ち暗くなった渋谷区の住宅街で、電線の上を歩く二匹に遭遇した。「通行人が集まると、下を威嚇するような様子も見えた」と振り返る。

 害虫・害獣対策の業界団体「日本ペストコントロール協会」(東京)によると、相談は年々増え、二〇一五年度は全国で千三百三件。その約半数が都内分だった。担当者は「理由は分からないが、山間部から生息域を広げて都会にすむようになったようだ。隠れてすめる空き家の増加も影響しているのではないか」と話す。

 都環境局によると、捕獲は十年ほど前から増え始め、一四年度は過去最多の七百十五匹に上った。同年度の都への相談は二十三区が多摩地域の二倍近い二百一件あった。

 二十三区での目撃情報を中心に集める「東京タヌキ探検隊!」の宮本拓海さん(49)は二十三区内に千百~千八百匹いると推定する。「都内には隙間が多い木造家屋も多く、庭に果樹がある家も意外とある。繁殖場所と食べ物に困らず、すみやすいのかもしれない」

 そもそも、ハクビシンはどこから来たのか。東南アジア原産とされるが、農林水産省の資料によると、江戸時代の書物に「雷獣」として似た動物が描かれていることから、在来種とする説もあり、謎が多い。

 感染症の感染源になる恐れもあるとして、都は一三年に防除計画を策定。この計画に基づき、二十三区では現在、渋谷など十三区が専門業者を紹介するなどしている。捕獲は鳥獣保護法で禁じられており、都の許可を受けなければならない。

 文京区は昨年度から講習会を開き、専門家が生態や見分け方、予防法などを教えている。担当者は「すみ着いてからだとふん尿の悪臭や衛生被害も大きい。未然に防ぎたい」と話した。

◆ハクビシン対策

・餌を与えたり、触ったりしない

・縁の下や換気口、軒下など建物周りの侵入口になる隙間をふさぐ(頭が入れば、5センチ程度の隙間でも通り抜ける)

・屋根に上れるような庭木の枝は剪定(せんてい)する

・敷地内の果物は早めに収穫するか、網をかける

・ペットの餌や生ごみを外に放置しない

<ハクビシン> ジャコウネコ科の動物で体長1メートルほど。夜行性。雑食性でカキ、ビワなどの果実を好む。ノミやダニなど害虫を運ぶほか、場合によっては人にかみつく恐れもあるという。日本では昭和20年代初頭に福島県や静岡県、四国に分布。現在は南東北から中部、四国に集中している。関西ではハクビシンの被害報告は少なく、イタチが目立つという。

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