工房「ジミート」で解体担当 天野進さん(静岡県)

春野からジビエ広めたい 天野進さん(65)

 先月20日に浜松市天竜区春野町杉の野外活動施設「春野山の村」内にオープンした、ジビエ(野生鳥獣の肉)を加工、販売する工房「ジミート」で、シカやイノシシの解体を担当している。「春野の山から、ジビエのおいしさを広めたい」と意気込む。

 相模原市から旧春野町へ移住したのは25年前。一足先に春野で暮らしていた兄の家に遊びに来た際、豊かな山の自然に圧倒された。2人の子どももおり、「ここで子育てができれば最高だ」と、脱サラして移住を決めた。

憧れの山暮らしの中で狩猟も趣味になった。「これまでに800頭は解体したかなあ」。仕留めた獲物は自ら解体し食べてきたから、その味もよく知っている。「ジビエは臭いとよく言われますが、適切な処理がされたジビエは本当にうまいんです」

 猟とは縁遠い一般消費者にもジビエの良さを知ってもらおうと、ジミートの設備にはこだわった。元からあった倉庫を浜松市の補助金1500万円などをかけて大改装。肉を熟成させるための冷蔵庫や瞬間冷凍庫のほか、洗浄、殺菌を行うためのアルカリ水などを作る機材も導入した。

 イノシシやシカは猟師らから買い取っているが、仕入れの規格も厳格にした。捕獲直後に血抜きされ、1時間以内に持ち込まれたものしか買い取らない。「猟師さんには『ここまで厳しくして、誰も肉を持って来ないよ』と言われてしまいましたが、よい肉を生産するためには仕方がない」と笑う。薄切り肉やミンチなどに加工した肉は、市内のJA直販所や道の駅で売られる予定で、高級レストランからも要望が寄せられているという。

 ジミート設立の背景には、獣害の増加がある。近年、里山が付近住民の高齢化などによって手入れがされなくなり、イノシシやシカが人里まで降りてきて畑を荒らすようになった。その結果、駆除せざるを得なくなる。「命を奪うのだから、せめておいしく食べてもらいたい」

 オープンから1週間足らずで早速、イノシシ1頭が持ち込まれた。「年間100頭の出荷が今の目標。将来的にはジビエが一般家庭の夕食のおかずになるぐらい広く流通させたい」

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