ハンター農家を育成 免許の取得支援 長崎県が有害鳥獣捕獲強化[長崎県]

%ef%bc%92%ef%bc%92

 有害鳥獣を捕獲する新たな担い手として長崎県は、農家によるハンター育成に乗り出した。猟友会と連携した柵の設置と害獣を寄せ付けない環境整備に加えて、農家自らが捕獲を進めるのが特徴だ。20代の若い農家が集団で狩猟免許を持ち、鳥獣害対策のリーダーとして活躍する地域も出てきた。環境省によると、長崎県の取り組みは、全国の先進事例という。

・柵、環境整備も

 政府は有害鳥獣の捕獲を強化する改正鳥獣保護法を成立させ、今後10年で、全国的に害獣の捕獲を強化する方針だ。ただし、捕獲を担う狩猟者は高齢化が進み、各地でハンター不足が深刻化している。

 課題解決へ、農家のわな免許取得を中心にハンター育成に力を入れる長崎県。猟友会と連携し、捕獲の研修、狩猟免許の試験実施回数や試験場所を増やすなどの体制を整え、市町村と共に全面的にフォローもする。

 長崎県雲仙市の小浜町。急傾斜の農地周辺に設置した柵やおりを、若い農家4人が見回る。メンバーは全員が20代。県と市の勧めで、3年前にわなの狩猟免許を取った。

 イノシシによる被害は、農家個人で柵を設置していたが、捕獲は猟友会任せだった。しかし、増え続ける獣害に若者が動いた。米や麦を作る金澤宏さん(26)は「個人では限界。隙間を狙って侵入して田畑を踏み荒らす。仲間で何とかしたいと考えた」と振り返る。

 県や市の担当者や対策専門家からわなの設置方法や、柵の見回りポイントなどを学び、鳥獣害対策の担い手として被害を防ぐ技術を高めてきた。

 活動に行政が同行するなどで、地域の理解も深まった。メンバーの一人でジャガイモなどを作る元村孝太郎さん(29)は、「年配の人も次第に『未来を担う世代が言うなら』と協力するようになった。顔見知りも増え、縦のつながりも横のつながりも強まった」と、笑顔を見せる。

 市町村単位でつくる「鳥獣被害対策実施隊」メンバーとして対策の助言も担う4人。害獣の侵入ルートや耕作放棄地、柵を記した地域の地図を持って、先輩農家らに柵の維持管理や、地域ぐるみの対策の重要性を地道に訴える。

 今年度の目標は捕獲。メンバーは「イノシシの隠れ場所になる耕作放棄地の解消、効果的な柵の設置と捕獲。全てつながっている」と口をそろえる。

 政府は、鹿の生息数を325万頭から2023年度までに160万頭、イノシシは88万頭から50万頭に削減 する目標を据えるが、土台となる捕獲の担い手確保は急務だ。

 農家を中心にハンター育成を進める長崎県では、12年度の狩猟免許所持者が3116人と、07年度(2348人)から大幅に増えた。イノシシの捕獲数全国トップを誇り、9割がわな捕獲だ。県は「被害を受ける農家と、捕まえる猟友会が別という現状は限界がくる。農家が中核となり、柵の維持管理や集落の環境整備と並行して捕獲する意義は大きい」と強調する

日本農業新聞

http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28490